Anthropology

Golden Bough

とりあえず上巻を読み終え、「殺される王(祭司)」
⇒ 地中海東部沿岸地域の神話との関連性
本書には、さほど描かれていないドルイド僧との関連性をぼんやりと思い浮かべる。


図説 金枝篇(上) (講談社学術文庫)図説 金枝篇(上) (講談社学術文庫)
(2011/04/11)
ジェームズ.ジョージ・フレーザー

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Decadence

 ソクラテスの遺言『アスクレピオスに鶏一羽借りがある』 という一節があるそうです。そもそも、ソクラテスは一生を通じて病気になったことがなく、アスクレピオス医師団の治療を受けてもいないので、治療の謝礼を意味する「生贄の鶏」は何のためか?

 どうも、この一節は、「生きていること自体が病気であるという意味」から転じて、デカダンス Decadence を表す一節とされているようです。

 下段で紹介する書籍、『治癒神イエスの誕生』の巻末に掲載されている「キリスト教神話の構造シンポジウム」の討議のなかで梅原氏が、著者である山形氏に問いかける一節で紹介されています。  

 ちなみに、そのアスクレピオスについて
 ↓

アスクレーピオス
Ἀσκληπιός, Asklepios
はギリシア神話に登場する名医。ラテン語ではアイスクラーピウス(Æsculapius / Aesculapius)という。長母音を省略してアスクレピオス、アスクラピウスとも表記される。 アポロンの子孫とされる。
Wikipedia参照


394px-Asklepios_3.jpg


 このアスクレピオスの左手に握られている蛇杖は 、医療の現場で見たことあるマークですね。 蛇の神様と揶揄されることもあるそうですが、当時、画期的な医療手術をおこなった神様として崇められていたようです。ちなみにヒポクラテスはアスクレピオスを旗頭とするアスクレピオス医師団(神官)に所属していたそうです。

 ギリシャのペロポネソス半島のエピダウロスEPIDAURUSは、このアスクレピオスの神域、つまり、アスクレピオス医師団のテリトリーです。この時代には異質なことですが、この医師団はエピダウロスに限らず、各地を巡回していたようです。

 もうひとつ驚くべき史実は、このアスクレピオス医師団には、その当時、大胆な外科的切開手術を行った資料があるそうです。失敗して、結構な数の患者を死なせているみたいです。この時代の技術で切開手術をすれば当然と言えます。
 但し、治癒した患者もそこそこいたようですので、病気にかかった者を神に呪われたものとして蔑視し、社会から追放していたこの時代背景を考えれば、この神のもとに患者が殺到した事も頷けます。 

 また、アスクレピオスの治療方法自体も、かなり、奇妙なもので、先述の書籍の中にも記載されていますが、ギリシャに関する新書のなかにも、このような内容が書かれていました。

 ―ギリシャを巡る 萩野矢慶記 中公新書1748―
P61『いけにえの動物を殺した後、患者はアバトンと呼ばれる仮眠所で毛皮を巻き付けて眠る。そこで見た夢を神官が解釈して、必要な治療を指示した』  ということらしいです。この神官はアスクレピオス医師団にあたります。

 この逸話に関しても、アスクレピオス自体が、一度死んで復活した神様ですので、このような奇妙な方法をとっていてもさほど不思議ではないですね。

 「死んで、その後に復活する 」神? 乾季と雨季  呪詛の地=砂漠・荒野

 それでは、「治癒神イエスの誕生」のタイトルにあるイエスとアスクレピオスは、どういう関係があるのか?という点ですが、同時代において、治癒神という立場をめぐり、イエスはアスクレピオスと競合していたようです。最終的には、イエス亡き?あとに、イエスの神話として、アスクレピオスを含めた諸々の治癒神(ヤハウェ、バールなど)の神話を糾合し、トレースしていくようですが、まぁ、このわたしの説明では十分ではないので一読をおすすめします。

治癒神イエスの誕生 (ちくま学芸文庫)治癒神イエスの誕生 (ちくま学芸文庫)
(2010/08/09)
山形 孝夫

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 もともと、本書は、舞狂小鬼さんのブログで紹介されていたものでして、面白そうだったので購入して読んでみました。
久しぶりに良い本にあたりました。
 これからは、山形氏の他の著書もチェックしておこうとおもいます。 ハルナックやブルトマンという神学者からヒントを得て、本書や他の作品を著述されたようですが、どちらも初見の学者でした。ハルナックは岩波文庫にあるのかな?


 読み始める前は、神学関係中心の著述だと考えておりました。そのため、キリスト教史を頭に入れるぐらいのつもりでいました。しかし、いざ読み進めてみると、実際には、神学というより、文献学か文化人類学系の著作をおもわせるような、広範に及ぶアプローチで説明がなされており驚きました。

 また、古代社会における守護神の統合原理を、旧約聖書の「ヤコブの(格闘)組み打ち」をとおして説明しているあたりは、「なるほど」と関心させられるばかりでした。絵画(ドラクロワやドニの作品)では天使との格闘として描かれていますが、実際には、兄のエサウではないか?などという意見も本書のなかに出てきます。
 ヤコブと格闘した「正体不明の何者」かが誰にせよ、この物語が、「部族間(統合)闘争の物語」であるという著者の意見が一番しっくりときます。 

  また、本書では、イエスを「治癒神の系譜」の中に見立てており、同系統の神話との関係性を説明されています。パウロ以前のイエス = つまり、(パウロ以降はスルーしていた)超自然的治癒力を有するイエスの存在 をどう解釈するか?を現実的に問うことになり、かなりエキサイティングな論説になっています。
  
  この本の内容が、護教的な立場で信仰している人たちからは、どのように映るのかが興味深いところです。 そのような意味でも、山形氏の功績は多大なものがあると考えています。

 ちなみに、第二部には、 バタイユの言う「供犠」も出てきます。 「有用性の限界=蕩尽」 自分がバタイユの作品で、誤った解釈をした内容を 本書で改めて確認することとなりました。

図説 聖書物語 旧約篇 (ふくろうの本)

図説 聖書物語 旧約篇 (ふくろうの本)
(2001/06)
山形 孝夫、山形 美加 他

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 もともと、この著者は宗教人類学を専門としているようなので、神学に限定せず広い範囲の文献を つかって説明しています。  ↑ この図説聖書物語も絵画を交えて説明していて面白いかったですね。

Parole & Langue

アスディワル武勲詩 (ちくま学芸文庫)アスディワル武勲詩 (ちくま学芸文庫)
(2011/12/07)
クロード レヴィ=ストロース、内堀 基光 他

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 思っていたよりも、読みやすく書かれていました。 「この本、本当にレヴィ=ストロースの著作?」と疑ってしまうくらいです。
 この「アスディワル武勲詩」は、シンポジウム用に執筆された論文らしく、本当に、わかりやすい論文調で書かれています。本文を英訳しシンポジウム参加者に配布したそうです。どうやら、英訳しやすいように、いつものコラージュばりの複雑な構成を避けたようですね。

 本書は、F・ボアズにより蒐集された、カナダ太平洋沿岸の先住民ツィムシアンTsimshian・インディアン族の「アスディワルAsdiwalの武勲詩」をもとに書かれています。ただ、インディアンといっても北米内陸部のインディアンとはことなり、なんとなく*エスキモーをイメージさせるような生活習慣をもった部族が描かれています。

*注 : エスキモーの生活習慣や文化の詳細を知っているわけではありません。あくまでも個人的なイメージです。

 レヴィ=ストロースお得意の交叉イトコ婚がらみの神話なので、また、どうでもいいような話を織り交ぜながら説明するかと思いきや、短刀直入に本題へ入り 肩すかしをくらいます。 




 ただ、残念ながら、この本はレヴィ=ストロースの本文よりも、内堀氏の解説の方が圧倒的に面白いです。紙幅も1/3 は解説で占めています。

 解説の後半には、Gesteを「物語」や「武勲譚」とせず、「武勲詩」と訳した意図が記載されています。内堀氏、流石です。

タイトルのパロール&ラング について

P142-143
 神話は、与えられた状況で一度かぎり不可逆的に語られるという点ではパロールの領域に属するが、その語りが「神話」であるためには、固有の価値を持たなければならない。この価値は、すなわち、そこで展開される出来事が恒常的な構造をなすということに由来する。したがって神話は非時間的なラングの領域に属する。言いかえれば、神話がパロールとラングの領域に同時に所属するのは、神話に神話固有の価値を与えているその構造に他ならない。これがレヴィ=ストロースの言う神話の「第3の水準」である。


 上の内堀氏の解説に従って
扱っている題材が神話なので、パロールとラングの両領域にまたがるという意味が込めてあります。
imageL=S3.jpg  Claude Lévi-Strauss

上の作品の著者で、2009年にお亡くなりになったフランスの大先生です。


以下Wikipediaからの参照です。

クロード・レヴィ=ストロース(Claude Lévi-Strauss, 1908年11月28日 - 2009年10月30日[1])はフランスの社会人類学者、思想家。コレージュ・ド・フランスの社会人類学講座を1984年まで担当し、アメリカ先住民の神話研究を中心に研究を行った。アカデミー・フランセーズ会員。

専門分野である人類学、神話学における評価もさることながら、一般的な意味における構造主義の祖とされ、彼の影響を受けた人類学以外の一連の研究者たち、ジャック・ラカン、ミシェル・フーコー、ロラン・バルト、ルイ・アルチュセールらとともに、1960年代から1980年代にかけて、現代思想としての構造主義を担った中心人物のひとり。

Les structures élémentaires de la parenté, (Paris, Presses Universitaires de France, 1949)
『親族の基本構造』 青弓社
Tristes tropiques (Paris, Plon(Terre humaine), 1955)
『悲しき熱帯』 中央公論新社、新版中公クラシックス、各全2巻
『悲しき南回帰線』 講談社学術文庫、全2巻
Anthropologie structurale (Paris, Plon, 1958)
『構造人類学』 みすず書房
La pensée sauvage (Paris, Plon, 1962)
『野生の思考』 みすず書房
Les mythologiques (Paris, Plon, 1964 - 71)
『神話論理』 みすず書房全4巻、4巻目は2分冊、2006年-2010年1月完結
Le regard éloigné (Paris, Plon, 1983)
『はるかなる視線』 みすず書房、全2巻
Paroles données (Paris, Plon, 1984)
『パロール・ドネ』 講談社選書メチエ
La potière jalouse (Paris, Plon, 1985)
『やきもち焼きの土器作り』 みすず書房
De près et de loin (Paris, Odile Jacob, 1988)
『遠近の回想』(ディディエ・エリボンとの共著) みすず書房
Saudades do Brasil (Paris, Plon, 1994)
『ブラジルへの郷愁』 みすず書房 写真が主
Saudades de São Paulo (São Paulo, Companhia das letras, 1996)
『サンパウロへのサウダージ』 みすず書房、2008年11月 写真が主。

levi-strauss.gif   Claude Lévi-Strauss

クロード・レヴィ=ストロース(Claude Lévi-Strauss, 1908年11月28日 - 2009年10月30日)はフランスの社会人類学者、思想家。コレージュ・ド・フランスの社会人類学講座を1984年まで担当し、アメリカ先住民の神話研究を中心に研究を行った。アカデミー・フランセーズ会員。

専門分野である人類学、神話学における評価もさることながら、一般的な意味における構造主義の祖とされ、彼の影響を受けた人類学以外の一連の研究者たち、ジャック・ラカン、ミシェル・フーコー、ロラン・バルト、ルイ・アルチュセールらとともに、1960年代から1980年代にかけて、現代思想としての構造主義を担った中心人物のひとり。



2009年に亡くなったフランスの大先生です。 この頃若いなぁ~。
下に掲載した書籍は、以前にも紹介しています。

フランスの大先生ではありますが、
いやいやながら、冒険に、調査旅行に出かけるところが笑えます。

この本、歳を経るがごとに、読みやすく、また、面白くなるのかもしれません。



13f47b802e L=S6  

P282  一民族の風習を一括して見る場合、風習は形態に最もよく現れている。そして風習はいくつかの系統からなっているものだ。これらの系統は無制限にあるわけではなく、人間社会は個人と同様に ― 遊戯にも夢にも、あるいは精神錯乱にも ― 絶対的な方式は創造しないが、再構成の可能な理想的目録の中から、いくつかの組み合わせを選ぶに限られているとわたしは考えている。

TRISTES TROPIQUES Claude Lévi-Strauss(上巻) 

考察:

 「風習の類似性」は当然のこととしても、「神話における類似性」も上に記した引用文からも思い描くことができます。民族が有する神話も、いくつかの「系統」からなるものではないでしょうか?このような推測も全くの見当違いではないような気がします。民族の移動に伴い、他の地域にその神話が吸収され、「再構成」されていた?ということも推測できます。まだ、文献をあたったわけではありませんので、明言はできませんが。

豊穣の神、
                                                                            バアル神、 
ディオニュソス=バッカス、 
ココペリ (Kokopelli) :アメリカインディアン、ホピ族のカチナ(神・精霊)の1柱。豊穣の神(男神)
フレイ (Frey) :北欧神話の豊穣の神         
チャク:(Chac,Chaac,Chaak):マヤ神話における雨と雷を司る豊穣の神
プリアポス、プリアプス(Priapus):元々はトルコの豊穣の神 トルコ ― ギリシャ ― ローマ                                                                                      
などに類似点が見られます。
 豊穣の神は世界中の神話に存在するとおもいます。古代人であろうと、飢え死にするより、豊かになりたいにきまっていますので。                                                                                                      
 しかし、流石は、大先生「先見の明」があります。 


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